はじめに:マイナンバーで副業が「バレる」という噂の真相

「マイナンバーで副業が全部バレるらしい」
「確定申告したら会社に通知されるのでは?」

──2025年現在も、こうした不安を抱く人は非常に多いです。

しかし、実際のマイナンバー制度を正しく理解すると、

✅ 税務署には副業収入が“完全に”共有される
❌ 会社には原則、マイナンバー経由で副業情報は届かない
というのが正確な答えです。

この記事では、マイナンバー制度の構造・税務署の情報連携の仕組み・
そして会社にバレる可能性があるケースを、最新法改正を踏まえて徹底解説します。


目次

  1. マイナンバー制度の基本と副業との関係
  2. マイナンバーが副業の「税務処理」に使われる理由
  3. 税務署がマイナンバーで把握できる情報
  4. マイナンバーで会社に副業がバレる仕組みはあるのか?
  5. バレるとしたらどんな経路?【実際の連携フロー】
  6. 会社が副業を知る唯一のルート「住民税通知」
  7. 税務署がマイナンバーで見ている3つのデータ
  8. 個人情報の保護と制限:会社が勝手に照会できる?
  9. マイナンバー時代の安全な副業対策
  10. まとめ:マイナンバーは“税務署には伝わるが会社には伝わらない”

1. マイナンバー制度の基本と副業との関係

マイナンバー(個人番号)は、2016年から導入された国民一人ひとりに割り当てられた12桁の番号で、
税金・社会保険・年金などの行政手続を効率化するために使われます。

つまり、マイナンバーの目的は「課税・社会保障・災害対策」の3分野での情報統合であり、
副業を監視するための制度ではありません。

ただし、この仕組みのおかげで、
税務署はあなたの所得情報をより正確に・迅速に把握できるようになったのです。


2. マイナンバーが副業の「税務処理」に使われる理由

副業の収入が発生する場面では、ほとんどの場合、**報酬支払者(企業・プラットフォーム)**がマイナンバーを利用します。

マイナンバーが使われる場面
クラウドワークス・ココナラ等「支払調書」にマイナンバーを記載して税務署へ送付
アフィリエイトASP広告報酬支払い時に登録者のマイナンバーを報告
YouTube等Googleが支払い情報を国税庁へ報告(国外所得情報連携)
メルカリ・BASE一定の取引量を超えると取引情報が税務署に報告される仕組み

このようにマイナンバーは、
「副業収入=あなたの所得」として税務署が一元的に把握できるようにするために利用されているのです。


3. 税務署がマイナンバーで把握できる情報

税務署がマイナンバー経由で取得できるのは、次のようなデータです。

情報の種類取得元内容
支払調書情報企業・プラットフォーム報酬額・支払日・マイナンバー
金融取引情報銀行・証券会社入出金・配当・利息など
年金・保険社保庁・自治体年金額・保険料支払い履歴
住民税データ市区町村住民税算出のための所得情報

つまり、マイナンバーによって**「あなたがどこからいくら稼いだか」がすべて税務署のデータベースに紐づく**ということです。

ただし、この情報が会社へ共有されることはありません。


4. マイナンバーで会社に副業がバレる仕組みはあるのか?

結論:ありません。

会社が従業員のマイナンバーを扱うのは、あくまで給与支払い・源泉徴収・社会保険事務に限られます。

🔒 会社のマイナンバー利用範囲

  • 給与支払いに関する税務処理
  • 年末調整・社会保険手続
  • 法定調書提出

これらの処理において、会社は「自社が支払う給与」に関する情報しか扱いません。
他の報酬(副業・投資・フリーランス報酬など)は、会社が参照できない仕組みになっています。

マイナンバー情報は税務署・自治体など限られた機関間のみ連携可能で、
勤務先が勝手に閲覧することは法律で禁止されています。


5. バレるとしたらどんな経路?【実際の連携フロー】

それでも「副業が会社にバレた」というケースは存在します。
ただし、その原因はマイナンバーではなく、**住民税の計算方式(特別徴収)**です。

情報連携の流れ(文章図解)

  1. 税務署 → 市区町村へ確定申告データを送付
  2. 市区町村が住民税を計算
  3. 本業の会社へ「特別徴収税額通知」を送付
  4. 給与以外の所得(副業分)が加算されている
  5. 経理担当が「なぜ住民税が多い?」と気づく

つまり、会社に知られるのは**住民税通知を通じた「結果としての税額差」**です。
マイナンバーそのものが原因ではありません。


6. 会社が副業を知る唯一のルート「住民税通知」

会社員の住民税は通常「特別徴収」といって、
会社が給与から天引きして自治体に納付します。

その際、自治体は「給与所得以外の所得も含めた税額」を会社に通知します。
→ この“通知の内容”に差が出ると、副業がバレるのです。

バレないための対策

確定申告時に、

「住民税の徴収方法」→『自分で納付(普通徴収)』にチェック

とすれば、副業分の住民税は自分で支払うことができます。
これが最も確実な「合法的バレ防止策」です。


7. 税務署がマイナンバーで見ている3つのデータ

税務署は次の3つの観点からマイナンバーデータを分析しています。

項目内容
① 収入データの突合支払調書・源泉徴収票の整合性を確認
② 銀行口座入金の確認事業所得・雑所得の入金を検知
③ 過去申告履歴との比較昨年までとの急変・未申告を自動検出

AIによる自動照合システムが導入されており、「未申告者」や「所得不一致」は即時抽出されます。
これが「副業がバレた」ケースの大半の原因です。


8. 個人情報の保護と制限:会社が勝手に照会できる?

マイナンバー法第19条により、

事業者(会社)が従業員のマイナンバーを目的外利用・照会することは禁止。
違反した場合は**罰則(懲役・罰金)**が科されます。

したがって、会社は税務署や自治体に「この人の副業状況を教えて」と問い合わせることはできません。
また、マイナンバーを使って副業情報を検索・閲覧するシステムも存在しません。

安心してよいのは、マイナンバー=税務署が収入を管理するためのものであり、
会社があなたの副業収入を知るためのものではない、という点です。


9. マイナンバー時代の安全な副業対策

  1. 普通徴収(自分で納付)を選ぶ
     → 会社に副業分の住民税が通知されない。
  2. 副業用口座を分ける
     → 収支を明確にして税務署への説明もスムーズ。
  3. 帳簿・領収書を整える
     → マイナンバーで紐づけられる分、データの整合性が大切。
  4. 青色申告を導入する
     → 正しく申告し、むしろ「信頼される副業者」へ。
  5. 確定申告をサボらない
     → 「マイナンバー経由で把握される=隠せない」時代だからこそ、正しい対応が安全。

10. まとめ:マイナンバーは「バレるための仕組み」ではなく「正確に税を処理する仕組み」

  • マイナンバーは税務署・自治体が所得を管理するための番号
  • 税務署には副業収入が報告されるが、会社には共有されない
  • バレる原因はマイナンバーではなく「住民税通知」
  • 普通徴収を選べば会社バレは防げる
  • 正しく申告すれば、マイナンバー制度はむしろ安心

マイナンバー時代の副業は、「隠す」ではなく「整える」がキーワードです。
税金の透明化が進む今だからこそ、正しい知識を持つことが最大のリスク対策になります。


よくある質問(FAQ)

Q1. マイナンバーカードを申請すると副業がバレる?
→ いいえ。カード申請は単なる本人確認。副業情報と紐付けはされません。

Q2. 税務署はどこまで見ている?
→ 支払調書・銀行取引・過去の申告履歴など。収入源そのものは把握済みです。

Q3. 会社が副業を調べることはできる?
→ できません。マイナンバーを使って検索する行為は違法です。

Q4. SNSやネット販売の収入も報告される?
→ はい。プラットフォーム経由で報告義務があり、税務署に共有されます。


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