はじめに:副業収入が増えたら「税金」は避けて通れない
近年、副業をする会社員が急増しています。
とくに「せどり」「アフィリエイト」「ブログ」「ライティング」などは、スマホ1台から始められるため人気ですが、
実はどれも課税対象の収入です。
✅ 「少しの利益だから大丈夫」は危険
✅ 所得区分を間違えると税金が増える
✅ 住民税の処理を誤ると会社にバレる
この記事では、会社員が副業で得た所得の扱いから、確定申告・経費・住民税の設定方法までを、
初心者でも理解できるように実例つきで詳しく解説します。
目次
- 会社員の副業は「所得区分」で課税が変わる
- せどり・アフィリエイトの税金区分早見表
- 確定申告が必要になる条件(20万円ルール)
- 経費にできるもの・できないもの
- 開業届と青色申告の関係
- 住民税の申告と「会社にバレない」方法
- 税金の計算例(年間50万円/100万円稼いだ場合)
- よくある失敗と税務署からの指摘事例
- 節税・管理のコツ(帳簿・クレカ・口座分離)
- まとめ:副業は「事業」として正しく管理するのが最善
1. 会社員の副業は「所得区分」で課税が変わる
まず押さえておくべきは、副業収入がどの所得区分に当てはまるかです。
| 副業の種類 | 所得区分 | 税金上の扱い |
|---|---|---|
| せどり・物販 | 事業所得 or 雑所得 | 経費計上可。継続性がある場合は事業所得。 |
| アフィリエイト・ブログ収入 | 事業所得 or 雑所得 | ASP報酬など。規模が大きければ事業所得。 |
| YouTube広告収益 | 事業所得 | Googleから報酬。業務継続性が高い。 |
| メルカリの不要品販売 | 非課税(例外) | 生活用動産の処分。転売目的なら課税対象。 |
ポイント:
- 継続的・反復的に行っているかで判断されます。
- 税務署は「収益目的の活動=事業」とみなす傾向が強まっています。
2. せどり・アフィリエイトの税金区分早見表
| 区分 | せどり | アフィリエイト |
|---|---|---|
| 所得区分 | 事業所得 or 雑所得 | 事業所得 or 雑所得 |
| 収入計上 | 売上総額 | 報酬支払(確定日)ベース |
| 経費例 | 仕入れ・送料・ツール費・交通費 | サーバー費・ドメイン・外注費・通信費 |
| 消費税 | 売上1000万円超で課税 | 同左 |
| 青色申告 | 可能 | 可能(開業届提出要) |
3. 確定申告が必要になる条件(20万円ルール)
会社員でも副業の所得(=収入−経費)が20万円を超えると確定申告が必要です。
ただし、「申告不要」は所得税だけの特例。
住民税は別途申告義務があります。
| 判定基準 | 条件 |
|---|---|
| 所得税 | 副業所得が20万円以下 → 申告不要(例外あり) |
| 住民税 | 金額に関係なく → 原則申告必要 |
※「源泉徴収票が2枚ある人(Wワーク)」や「雑所得20万円超」は必ず確定申告。
4. 経費にできるもの・できないもの
経費にできる代表例
| 項目 | 対象例 |
|---|---|
| 通信費 | Wi-Fi・スマホ料金の按分分 |
| 交通費 | 仕入れ・打合せ・発送手続き |
| 備品 | PC・撮影機材・プリンタなど |
| 消耗品 | 梱包資材・文房具・インクなど |
| 外注費 | 記事ライター・デザイナー報酬 |
| サービス費 | サーバー・ASP利用料・サブスク管理ツール |
経費にできないもの
- 家族の生活費(食費・家賃全額など)
- 個人的な買い物・私的旅行
- 明確に業務と関係がない支出
5. 開業届と青色申告の関係
副業でも、事業として継続的に収益を上げる場合は「開業届」を出しておくと有利です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開業届 | 税務署に提出(個人事業の開業・廃業等届出書) |
| 青色申告承認申請書 | 同時提出で最大65万円控除が受けられる |
| 提出期限 | 開業日から2か月以内 |
| メリット | 経費計上拡大・赤字繰越・家族給与経費化・節税効果 |
ポイント:
アフィリエイトやせどりを「本格的に」やるなら、青色申告が断然おすすめ。
会計ソフト(freee、マネフォ)を使えば自動化可能。
6. 住民税の申告と「会社にバレない」方法
副業が会社に知られる最大の原因は住民税通知です。
会社員は「特別徴収(会社経由)」が原則のため、副業分が合算されると税額増加で発覚します。
対策:住民税を「普通徴収」にする
確定申告書の「住民税に関する事項」で以下を選択:
「自分で納付(普通徴収)」に✓
この設定をすれば、
- 本業:会社経由(特別徴収)
- 副業:自分で納付(普通徴収)
に分離され、会社に知られません。
7. 税金の計算例(年間50万円/100万円稼いだ場合)
| 副業所得 | 所得税 | 住民税 | 合計税負担 | 手取り(概算) |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 約2,000円 | 約10,000円 | 約12,000円 | 約188,000円 |
| 50万円 | 約25,000円 | 約50,000円 | 約75,000円 | 約425,000円 |
| 100万円 | 約80,000円 | 約100,000円 | 約180,000円 | 約820,000円 |
※経費を除いた後の「所得」ベース。
副業は経費で所得を圧縮できるため、実際の税負担はかなり軽減可能です。
8. よくある失敗と税務署からの指摘事例
| ミス | 結果 | 回避策 |
|---|---|---|
| せどりの仕入れを経費に入れ忘れ | 税金過大に | 在庫管理台帳を必ず作る |
| アフィリエイト報酬を振込ベースで計上 | 翌年ズレが発生 | 発生日(成果確定日)で計上 |
| 経費領収書を紛失 | 認められない | クレカ明細・電子データで保存 |
| 開業届を出していない | 青色申告不可 | 早期提出がベスト |
| 普通徴収にし忘れ | 会社に通知される | 確定申告時に必ずチェック |
9. 節税・管理のコツ(帳簿・クレカ・口座分離)
① 事業用口座・クレカを分ける
→ 私用と業務を分けることで経費整理が簡単。
② クラウド会計を導入
→ freee・マネーフォワードで自動仕訳&確定申告書を自動生成。
③ 家事按分を活用
→ 自宅作業スペース・ネット費用などを按分して経費化。
④ 青色申告特別控除を最大活用
→ 電子申告(e-Tax)で65万円控除。実質的に税率を1段階下げる効果。
10. まとめ:副業を“副業”として処理するのはNG。正しく「事業化」すべき
- せどり・アフィリエイトはどちらも課税対象の収入
- 所得区分は「事業所得」で扱うのが節税的にも有利
- 開業届+青色申告で最大65万円控除
- 住民税は普通徴収にして会社バレ防止
- 経費・帳簿・仕訳をクラウド化して自動管理
副業は「隠す」ものではなく、「正しく管理して税務的に守る」もの。
副業を本格的な“資産形成”へ変える第一歩として、
税金・帳簿・申告の流れを理解しておくことが今後の安定につながります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 副業の利益が10万円程度でも申告が必要?
→ 所得税は不要でも、住民税の申告は必要です。
Q2. せどりで赤字だったら?
→ 申告しておくと翌年以降の黒字と相殺できます(青色申告限定)。
Q3. アフィリエイト収入はASP振込時で計上?
→ 成果発生日が原則。振込基準ではなく発生基準で管理。
Q4. 開業届を出さないと会社にバレる?
→ 開業届自体は会社へ通知されません。住民税の設定が重要。

