はじめに:「副業したら税金どれくらい増えるの?」を正確に知る

副業を始めると、ほとんどの人が気になるのがこの疑問です。

「副業で年間30万円稼いだら、税金はどれくらい増える?」
「本業と副業の収入は合算されるの?」
「所得税・住民税・社会保険、それぞれどう変わる?」

結論から言えば、副業収入は本業の給与所得と合算されて課税されるのが基本です。
ただし、「所得」と「収入」の違い、各税目の計算ルールを理解すれば、どの程度手取りが変わるか自分でシミュレーション可能です。

この記事では、実際の計算式と具体例を用いて、初心者でもわかるように税金の仕組みを解説します。


目次

  1. 給与所得と副業収入の関係
  2. 税金は「所得(収入−経費)」で決まる
  3. 合算課税の仕組み
  4. 所得税の計算方法と速算表
  5. 住民税・社会保険への影響
  6. 年収別シミュレーション【30万・50万・100万円】
  7. 副業で損しないための節税ポイント
  8. 合算課税を踏まえた副業戦略
  9. 注意:住民税申告を忘れるとバレる
  10. まとめ:税金を理解すれば副業はもっと自由になる

1. 給与所得と副業収入の関係

副業をして得たお金は、本業の給与とは別の「所得」として扱われます。
確定申告時には、次のように給与所得と副業所得を合算して税金を計算します。

項目所得区分主な例
本業給与所得会社の給料・ボーナス
副業雑所得または事業所得アフィリエイト・せどり・ライティング報酬など

つまり、「給与+副業の合計所得」に対して所得税がかかるという仕組みです。


2. 税金は「所得(収入−経費)」で決まる

副業でかかる税金を考えるうえで、まず重要なのは「所得」です。

所得 = 収入 - 経費

例:副業で30万円稼ぎ、経費が10万円だった場合
→ 所得は20万円。

税金はこの「所得」に対して課税されます。
つまり、経費を上手に活用すれば、実際に支払う税金を減らせるのです。


3. 合算課税の仕組み

所得税は「総合課税方式」で計算されます。
本業・副業・その他すべての所得を合計して、累進課税率をかけます。

課税所得金額税率控除額
〜195万円5%0円
195〜330万円10%97,500円
330〜695万円20%427,500円
695〜900万円23%636,000円
900〜1,800万円33%1,536,000円

※2025年現在の所得税速算表(国税庁より)

このため、副業で得た所得は本業の所得に上乗せされ、税率も上がる可能性があります。


4. 所得税の計算方法と速算表

所得税の計算式は次の通りです。

課税所得 = 総所得 - 各種控除
所得税 = 課税所得 × 税率 − 控除額

主な控除には次のようなものがあります。

控除項目内容控除額目安
基礎控除全員が対象48万円
社会保険料控除健康保険・年金支払額全額
生命保険料控除生命・医療保険最大12万円
扶養控除扶養家族がいる場合最大63万円
配偶者控除配偶者の所得が一定以下最大38万円

これらを差し引いた後の「課税所得」に税率をかけて計算します。


5. 住民税・社会保険への影響

住民税

所得に対して一律10%(所得割)+均等割5,000円程度が課されます。
副業で20万円以上の所得がある場合、住民税の増額分から会社にバレるケースが多いです(特別徴収時)。

社会保険

  • 本業が会社員の場合:副業分には基本的に社会保険はかかりません
  • 副業が本格化して「本業より多い」場合は、個人事業主扱いになる可能性あり

6. 年収別シミュレーション【30万・50万・100万円】

ケース①:年収400万円の会社員、副業所得30万円

  • 総所得:430万円
  • 課税所得:約330万円(控除後)
  • 税率10% → 所得税約33,000円増
  • 住民税:約30,000円増
    年間約6.3万円の追加負担

ケース②:年収400万円、副業所得50万円

  • 税率10% → 所得税約50,000円増
  • 住民税:約50,000円増
    年間約10万円の追加負担

ケース③:年収600万円、副業所得100万円

  • 税率20%ゾーン突入
  • 所得税約20万円+住民税約10万円
    年間約30万円の追加負担

※目安として、副業所得の20〜30%程度が税金として差し引かれると考えておくと現実的です。


7. 副業で損しないための節税ポイント

  1. 経費を正しく計上する
     例:通信費・書籍・パソコン・クラウドツールなど。
  2. 青色申告で65万円控除を活用
     開業届+青色申告承認申請で事業所得扱いに。
  3. ふるさと納税・iDeCoで控除を増やす
     副業分の所得税を相殺可能。
  4. 副業口座を分けておく
     経費・収入の整理が楽になり、税務署説明もスムーズ。

8. 合算課税を踏まえた副業戦略

  • 税率が上がるライン(330万円・695万円など)を意識
  • 税率が上がる前の範囲で副業収入を調整
  • 経費・控除を使って課税所得を減らす設計を意識
  • 家族の扶養控除を外れないよう確認(103万・106万・130万ライン)

「稼ぎ方 × 控除 × 経費管理」で、税金をコントロールできます。


9. 注意:住民税申告を忘れるとバレる

所得税が20万円以下で確定申告を省略しても、住民税の申告は必須です。
これを怠ると、自治体が前年の報酬情報をもとに会社に通知し、副業バレのリスクが高まります。
「普通徴収」を必ず選び、自分で納付しましょう。


10. まとめ:税金の仕組みを理解すれば“怖くない”

  • 副業収入は本業と合算されて課税される
  • 所得税は累進課税制(所得が上がると税率も上がる)
  • 所得税+住民税で副業所得の約20〜30%が目安
  • 経費・控除を活用して節税可能
  • 住民税は「普通徴収」で会社バレを防ぐ

副業で損しないためには、税金を知る=守るスキルです。
収入を増やしながら、正しい申告で安心して続けましょう。


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