はじめに:「副業=開業届を出さなきゃダメ?」という疑問に答えます

「副業で収入が増えてきたけど、開業届って出したほうがいいの?」
「出すタイミングが遅れたらペナルティある?」
「青色申告にしたいけど、どうやって申請するの?」

──こうした質問は、副業を本格化させると誰もが通る道です。

結論から言うと、

✅ 開業届の提出は「義務」ではない
✅ ただし青色申告・経費計上・節税を狙うなら必須級
✅ タイミングは「副業を始めた日」から1か月以内が理想

この記事では、開業届を出すメリット・デメリットから提出手順、青色申告の準備まで、
初心者が迷わず進められるように図解・テンプレつきで徹底解説します。


目次

  1. 開業届とは?どんな人が出すべきか
  2. 副業でも出すメリット・出さないデメリット
  3. 開業届を出すタイミング|「いつ出すか」が重要
  4. 提出先・提出方法(窓口・郵送・e-Tax)
  5. 開業届の書き方を徹底解説【記入例付き】
  6. 青色申告承認申請書も同時に提出しよう
  7. 開業後に必要な帳簿・経費管理のポイント
  8. よくある間違いと注意点
  9. 開業届を出した後にすべきこと(銀行口座・屋号・確定申告準備)
  10. まとめ:副業を“仕事”に変える第一歩

1. 開業届とは?どんな人が出すべきか

開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)とは、
「私は個人で事業を始めました」と税務署に知らせるための書類です。

対象になる人

  • 物販や制作、ライティングなど継続的に報酬を得ている人
  • 事業として経費・売上を記録している人
  • 確定申告で「青色申告」をしたい人

対象外

  • 一時的な副収入(数回だけ)
  • 雇用契約による給与型の副業

つまり「継続して稼ぐ意思がある副業」は開業届を出すべき対象です。


2. 副業でも出すメリット・出さないデメリット

出すメリット

メリット詳細
青色申告ができる最大65万円控除/赤字繰越3年可能
経費をしっかり計上できる節税効果大/事業所得として扱える
銀行・クレカ審査で有利屋号口座が作れる/信用力向上
事業として扱われる仕事として扱われるため業務委託契約が通りやすい

出さないデメリット

デメリット詳細
青色申告が使えない控除ゼロ/赤字繰越不可
経費が雑所得扱いで制限控除範囲が狭まる
税務署からの信用が弱い事業性が疑われる可能性
事業用口座が作れない会計管理が複雑化

3. 開業届を出すタイミング|「いつ出すか」が重要

原則として「事業を開始した日から1か月以内」に提出することが推奨されています。
ただし遅れて出しても罰則はなし

ベストタイミング

  • 初めて副業収入を得たとき
  • 開業準備(サイト制作・仕入れ・開業費支出)を始めたとき
  • 青色申告を翌年から適用したい年の年内(12月末まで)

開業日を自由に決められるため、“副業を始めた日”=開業日でOK
実際は「〇年〇月〇日 開業」として柔軟に設定できます。


4. 提出先・提出方法(窓口・郵送・e-Tax)

方法特徴
税務署窓口提出即日控えがもらえる/印鑑必要
郵送提出控え返送用封筒を同封
e-Tax提出自宅から完結/マイナンバーカード必須

どの方法でも提出費用は無料
提出先は「自宅住所を管轄する税務署」です。


5. 開業届の書き方を徹底解説【記入例付き】

開業届(税務署提出書類)

項目記入例解説
屋号〇〇Works/空欄でも可名刺・口座用にあると便利
職業Webライター・動画編集・物販業など実際の副業内容
事業の概要「Webメディア運営およびライティング業務」など簡潔でOK
開業日副業を始めた日/または任意
所在地自宅住所
納税地住所地(住民票)通常は自宅
所得の種類事業所得雑所得ではなく事業所得に
届出の区分開業

印鑑と日付を忘れずに。
控えをもらっておくと、銀行口座開設やクレカ申請時に使えます。


6. 青色申告承認申請書も同時に提出しよう

青色申告を行うには、「青色申告承認申請書」を別途提出する必要があります。
これは開業届と同時に出すのが鉄則
です。

提出期限内容
新規開業者開業日から2か月以内
既存事業者青色申告したい年の3月15日まで

青色申告の主な特典

  • 65万円控除(電子申告)/10万円控除(簡易)
  • 赤字の3年繰越
  • 家族への給与(専従者給与)の経費化
  • 決算書作成で信頼性向上

記入例

項目記入例
所得の種類事業所得
事業の概要Webライティング・ブログ運営
帳簿方式複式簿記
備付帳簿現金出納帳・仕訳帳・売掛帳など
青色申告承認を受けようとする年令和〇年分

7. 開業後に必要な帳簿・経費管理のポイント

青色申告を選んだ場合、帳簿付けが義務になります。
とはいえ難しく考える必要はありません。
freeeやマネーフォワードクラウド会計を使えば自動で仕訳されます。

最低限必要な帳簿

帳簿名内容
現金出納帳現金の入出金
預金出納帳銀行取引
売掛帳売上の記録
経費帳支出管理
固定資産台帳PCや設備など10万円以上の資産

8. よくある間違いと注意点

間違い解説
開業届を出さずに青色申告だけ提出無効。開業届とセットで必要。
職業欄を「副業」と記入不適切。具体的な業種名を書く。
開業日を遡って記入実務上は可。ただし前年分には適用されない。
家族の給与を経費にしたい「青色事業専従者給与届出書」も併せて提出。

9. 開業届を出した後にすべきこと(銀行口座・屋号・確定申告準備)

  1. 屋号口座を開設
     → 開業届の控えが必要。事業用資金を分離できる。
  2. クレジットカードを分ける
     → 経費処理を簡潔に。
  3. 領収書・レシートを保存
     → 電子帳簿保存法対応アプリ(freee等)を利用。
  4. 確定申告の準備
     → e-Tax設定/マイナンバーカード連携。
  5. 青色申告ソフト設定
     → 「開業日」「帳簿方式:複式簿記」で初期設定。

10. まとめ:開業届は「節税+信用+事業化」の第一歩

  • 開業届は「義務ではない」が、「出さないと損」
  • 青色申告を使うなら同時申請が必須
  • 遅れても出せる/開業日は柔軟に設定可
  • 出すことで経費・信頼・将来の融資に有利
  • 会計ソフトを導入すれば帳簿管理も簡単

副業を「趣味」から「事業」に昇格させる最初のアクションが開業届の提出です。
正しく出すことで、節税・信用・スムーズな確定申告の三拍子が揃います。


よくある質問(FAQ)

Q1. 開業届を出すと会社にバレますか?
→ いいえ。税務署への届け出だけなので会社に通知されません。住民税を普通徴収にすれば安全です。

Q2. 一度出したら取り消せますか?
→ 廃業届を出せばOK。ペナルティなし。

Q3. 開業日を過去の日付にできますか?
→ 可能ですが、青色申告控除は当年度からしか使えません。

Q4. 複数の副業がある場合は?
→ まとめて「事業の概要」に全体像を書いて1枚提出でOK。


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