はじめに:「副業=開業届を出さなきゃダメ?」という疑問に答えます
「副業で収入が増えてきたけど、開業届って出したほうがいいの?」
「出すタイミングが遅れたらペナルティある?」
「青色申告にしたいけど、どうやって申請するの?」
──こうした質問は、副業を本格化させると誰もが通る道です。
結論から言うと、
✅ 開業届の提出は「義務」ではない
✅ ただし青色申告・経費計上・節税を狙うなら必須級
✅ タイミングは「副業を始めた日」から1か月以内が理想
この記事では、開業届を出すメリット・デメリットから提出手順、青色申告の準備まで、
初心者が迷わず進められるように図解・テンプレつきで徹底解説します。
目次
- 開業届とは?どんな人が出すべきか
- 副業でも出すメリット・出さないデメリット
- 開業届を出すタイミング|「いつ出すか」が重要
- 提出先・提出方法(窓口・郵送・e-Tax)
- 開業届の書き方を徹底解説【記入例付き】
- 青色申告承認申請書も同時に提出しよう
- 開業後に必要な帳簿・経費管理のポイント
- よくある間違いと注意点
- 開業届を出した後にすべきこと(銀行口座・屋号・確定申告準備)
- まとめ:副業を“仕事”に変える第一歩
1. 開業届とは?どんな人が出すべきか
開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)とは、
「私は個人で事業を始めました」と税務署に知らせるための書類です。
対象になる人
- 物販や制作、ライティングなど継続的に報酬を得ている人
- 事業として経費・売上を記録している人
- 確定申告で「青色申告」をしたい人
対象外
- 一時的な副収入(数回だけ)
- 雇用契約による給与型の副業
つまり「継続して稼ぐ意思がある副業」は開業届を出すべき対象です。
2. 副業でも出すメリット・出さないデメリット
出すメリット
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 青色申告ができる | 最大65万円控除/赤字繰越3年可能 |
| 経費をしっかり計上できる | 節税効果大/事業所得として扱える |
| 銀行・クレカ審査で有利 | 屋号口座が作れる/信用力向上 |
| 事業として扱われる | 仕事として扱われるため業務委託契約が通りやすい |
出さないデメリット
| デメリット | 詳細 |
|---|---|
| 青色申告が使えない | 控除ゼロ/赤字繰越不可 |
| 経費が雑所得扱いで制限 | 控除範囲が狭まる |
| 税務署からの信用が弱い | 事業性が疑われる可能性 |
| 事業用口座が作れない | 会計管理が複雑化 |
3. 開業届を出すタイミング|「いつ出すか」が重要
原則として「事業を開始した日から1か月以内」に提出することが推奨されています。
ただし遅れて出しても罰則はなし。
ベストタイミング
- 初めて副業収入を得たとき
- 開業準備(サイト制作・仕入れ・開業費支出)を始めたとき
- 青色申告を翌年から適用したい年の年内(12月末まで)
開業日を自由に決められるため、“副業を始めた日”=開業日でOK。
実際は「〇年〇月〇日 開業」として柔軟に設定できます。
4. 提出先・提出方法(窓口・郵送・e-Tax)
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| 税務署窓口提出 | 即日控えがもらえる/印鑑必要 |
| 郵送提出 | 控え返送用封筒を同封 |
| e-Tax提出 | 自宅から完結/マイナンバーカード必須 |
どの方法でも提出費用は無料。
提出先は「自宅住所を管轄する税務署」です。
5. 開業届の書き方を徹底解説【記入例付き】
開業届(税務署提出書類)
| 項目 | 記入例 | 解説 |
|---|---|---|
| 屋号 | 〇〇Works/空欄でも可 | 名刺・口座用にあると便利 |
| 職業 | Webライター・動画編集・物販業など | 実際の副業内容 |
| 事業の概要 | 「Webメディア運営およびライティング業務」など | 簡潔でOK |
| 開業日 | 副業を始めた日/または任意 | |
| 所在地 | 自宅住所 | |
| 納税地 | 住所地(住民票) | 通常は自宅 |
| 所得の種類 | 事業所得 | 雑所得ではなく事業所得に |
| 届出の区分 | 開業 |
印鑑と日付を忘れずに。
控えをもらっておくと、銀行口座開設やクレカ申請時に使えます。
6. 青色申告承認申請書も同時に提出しよう
青色申告を行うには、「青色申告承認申請書」を別途提出する必要があります。
これは開業届と同時に出すのが鉄則です。
| 提出期限 | 内容 |
|---|---|
| 新規開業者 | 開業日から2か月以内 |
| 既存事業者 | 青色申告したい年の3月15日まで |
青色申告の主な特典
- 65万円控除(電子申告)/10万円控除(簡易)
- 赤字の3年繰越
- 家族への給与(専従者給与)の経費化
- 決算書作成で信頼性向上
記入例
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 所得の種類 | 事業所得 |
| 事業の概要 | Webライティング・ブログ運営 |
| 帳簿方式 | 複式簿記 |
| 備付帳簿 | 現金出納帳・仕訳帳・売掛帳など |
| 青色申告承認を受けようとする年 | 令和〇年分 |
7. 開業後に必要な帳簿・経費管理のポイント
青色申告を選んだ場合、帳簿付けが義務になります。
とはいえ難しく考える必要はありません。
freeeやマネーフォワードクラウド会計を使えば自動で仕訳されます。
最低限必要な帳簿
| 帳簿名 | 内容 |
|---|---|
| 現金出納帳 | 現金の入出金 |
| 預金出納帳 | 銀行取引 |
| 売掛帳 | 売上の記録 |
| 経費帳 | 支出管理 |
| 固定資産台帳 | PCや設備など10万円以上の資産 |
8. よくある間違いと注意点
| 間違い | 解説 |
|---|---|
| 開業届を出さずに青色申告だけ提出 | 無効。開業届とセットで必要。 |
| 職業欄を「副業」と記入 | 不適切。具体的な業種名を書く。 |
| 開業日を遡って記入 | 実務上は可。ただし前年分には適用されない。 |
| 家族の給与を経費にしたい | 「青色事業専従者給与届出書」も併せて提出。 |
9. 開業届を出した後にすべきこと(銀行口座・屋号・確定申告準備)
- 屋号口座を開設
→ 開業届の控えが必要。事業用資金を分離できる。 - クレジットカードを分ける
→ 経費処理を簡潔に。 - 領収書・レシートを保存
→ 電子帳簿保存法対応アプリ(freee等)を利用。 - 確定申告の準備
→ e-Tax設定/マイナンバーカード連携。 - 青色申告ソフト設定
→ 「開業日」「帳簿方式:複式簿記」で初期設定。
10. まとめ:開業届は「節税+信用+事業化」の第一歩
- 開業届は「義務ではない」が、「出さないと損」
- 青色申告を使うなら同時申請が必須
- 遅れても出せる/開業日は柔軟に設定可
- 出すことで経費・信頼・将来の融資に有利
- 会計ソフトを導入すれば帳簿管理も簡単
副業を「趣味」から「事業」に昇格させる最初のアクションが開業届の提出です。
正しく出すことで、節税・信用・スムーズな確定申告の三拍子が揃います。
よくある質問(FAQ)
Q1. 開業届を出すと会社にバレますか?
→ いいえ。税務署への届け出だけなので会社に通知されません。住民税を普通徴収にすれば安全です。
Q2. 一度出したら取り消せますか?
→ 廃業届を出せばOK。ペナルティなし。
Q3. 開業日を過去の日付にできますか?
→ 可能ですが、青色申告控除は当年度からしか使えません。
Q4. 複数の副業がある場合は?
→ まとめて「事業の概要」に全体像を書いて1枚提出でOK。

